キリンジがわからない
テスト2週間前の深夜、全曲ランダムで流れてきたエイリアンズを聴いて泣き濡れた。
なんとなくappleからオススメされたからライブラリに入れてただけの存在があまりにも心を潤してくれた。その事実があまりにも新鮮で、ここぞという言葉が見つからないでいた。
なんだろうか、棚からぼた餅?藪から蛇??晴天の霹靂???
わからない。ただ、悩み事を抱えた時に友達の何気ない発言で答えを得た時とかも同じ感覚を味わった覚えがある。カタルシスを感じるような鬱積なんてなかったはずだが、とてもじゃないがそれは筆舌に尽くしがたい感覚だった。
こういう経験を、大事にしていきたい。
2番サビに入る前あたりで「日中だったら絶対聴かないな」とふと思った。まだ20歳の若輩だからか、メロウな曲調に憧れは抱くもののこれこそが自分の好みだというふうにはならなかった。
いやまあ女の子連れ込んだ時のBGMで聴いたり、入眠用の音楽で聴いたりだとかはするけど、用がなければ触らない。そんな距離感のジャンルだ。lo-fi hiphopとかそんな軽いスロウテンポじゃなく含蓄があると感じさせてくれるようなそんなメロウ。
正直言って、こういう曲は聴いててテンポがトロいだとか、もっとテンション高く行けよだとか粗雑な感想を抱くこともある。
だが、ただ若さから来る落ち着きのなさだけじゃなく、シワが刻まれるような逡巡やら苦悩だとかをまだ経験し足りないからということもキリンジを聴き慣れない理由なのかもしれない。
それとも『まだこんなオッサンたちが作ってる曲に聴き惚れるほど俺は老けてねえぞ』という反抗心的なものだろうか。
どちらにせよ俺はまだ子供だなあと思いながら、テスト勉強をしないまま40分が経ってしまっていた。